ペルプリン本の特色

ペルプリン本は2巻本で、紙に印刷されている。革装丁は15世紀リューベックのハインリッヒ・コスターによってなされたもので、各巻の表板の上部と下部に「hric'cost− bant dit」と装丁家の名が記されている(写真1 ファクシミリ版より)。全体で640葉からなり、2段組の各段の大きさは約285×85ミリ、大半が42行である。第2巻は316葉で、黙示録末尾(第20章9行目まで)を含む第317葉と白紙2葉(第318〜319葉)の計3葉が欠落している。全体的に保存状態は良いが、かつて湿気にさらされたことにより用紙の上部がやや傷んでおり朱文字の一部がかすんでいる。しかし印刷部分は鮮やかな黒い光沢を保っており、湿気の影響をうけていない箇所では用紙の状態もすこぶる良い。
頭文字や彩飾は能書家や画家によって印刷後に手作業でほどこされたものである。149点の頭文字のうち、最も見事なものは第1巻冒頭ページの「F」で、これには磨かれた金箔が使用され、余白にも美しい縁飾りが広がっている(写真2 ファクシミリ版より)。残りの頭文字には青と赤の2色が使用され、羽状の装飾がくわえられている。ペルプリン聖書の朱書きは、グーテンベルクによる「朱書きのための索引」(Tabula rubricarum)から大きく逸脱しており、資料として貴重である。
加えて、ペルプリン本には他の現存本にはみられない、ひとつの微細な、しかしきわめて貴重な特色がある。第1巻「出エジプト記」第46葉の余白に25ミリ×7ミリ大の四角い汚れがあるが、これは作業中に落とした活字によってついたものである。この痕跡から研究者はグーテンベルクの用いた活字の形状や大きさを推測することが可能になり、印刷史家にとってきわめて重要な資料となっている。

第一巻 第48葉活字の痕跡

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