|
グーテンベルク聖書(プリペリン本)ファクシミリ版について
◆ 用紙と透かし
ペルプリン本で使用されている4種類の用紙は1450年代初期に作られたもので、ほとんどすべての葉に透かしがみられる。ファクシミリ版で用いられた用紙はこれを模した特注品で、厚さ0.23ミリ(原本の平均値)、重さ140 g/m2 の中性紙が使用されており、原本同様の透かしが入れられ、色や紙質も手漉き紙に似せてある。また現代のオフセット印刷に適したものとするために綿繊維に高品質な木材パルプが混合された。
◆撮影・印刷
原本の撮影は慶應義塾大学HUMIプロジェクト・チームにより4×5インチ・フィルムでおこなわれた。フィルムからスキャニングされた画像は、歪みや色が補正された後、コンピュータから版に直接出力(CTP出力)され、これにより精密な網点再現が可能となった。印刷にあたっては特に黒インクの選択に細心の注意がはらわれ、原本の比色分析をふまえた特注インクによって濃密かつ鮮明な黒が再現された。
◆彩 飾
原本において彩飾家や能書家によって手で加えられた頭文字や装飾部分は、ファクシミリ版においても手作業で再現された。(この彩飾の復元作業の中で、渦巻き模様の描かれ方から、原本の彩飾家が左利きだったことも判明した。)第1巻冒頭ページの頭文字「F」には原本同様に金箔が用いられた。
◆装 丁
ファクシミリ版の装丁はハインリッヒ・コスターによる原本の装丁を再現したレプリカとなっている。革には15世紀当時の技法にしたがって植物性油脂でなめされた赤い山羊革が選ばれ、オーク材の板に被せられ、縦横に動植物や幾何学図形の空押し模様がほどこされた。装丁を保護するための真鍮の金具や留金も原本同様につけられている。
◆ スーツケース
ペルプリン本が第二次大戦中にたどった数奇な運命を記念するため、ファクシミリ版2巻は、1939年にアントーニ・リートケ博士が聖書をペルプリンから持ち出す際に用いた革製スーツケースのレプリカに収められている。 |