キャプテン・クック(Captain James Cook, 1728-1779)のエンデヴァ−号による世界一周航海に科学班の責任者として同行した植物研究者ジョゼフ・バンクス(Sir Joseph Banks, 1743-1820)が製作した植物の銅版画集です。バンクスは船が停泊したオーストラリア、リオデジャネイロ、マデイラ島、ニュージーランド、ソシエテ諸島、フェゴ島でシドニー・パーキンソン(Sydney Parkinson, 1745-1771)らの画家に描かせた水彩画や現地で収集した膨大な数の植物標本を本国に持ち帰り、葉脈まで詳細に記録した753点の銅版を1771年から1784年にかけて完成させました。
しかし諸般の事情によってバンクスの生前には出版されず、銅版は彼の死後、遺言により大英自然史博物館に寄付され、1900年と1973年にごく一部の図版が出版されたものの、1980年から1990年に本彩色図版集が出版されるまでその殆どが未使用のまま眠っていました。この「バンクス植物図譜」では、全753点のうち、コンディションの良好な743枚の銅版が選ばれ、一枚一枚10色ないしは15色の水彩絵具を盛り、タンポを使って丹念に仕上げられました。図譜一枚を仕上げるごとに絵具を盛り直すという手間のかかる作業のため約9年間を費やし、120セットが印刷されたにすぎません。植物図譜に描かれた植物の中には今日では絶滅に瀕しているものもあり、植物学上貴重な記録であると同時に、緻密に彫り上げられた18世紀の銅版技術に時間をかけて刷り上げた美しさは他に類を見ないものです。
今回は743枚の中からソシエテ諸島の植物図89枚を販売いたします。
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