刊 行 の 辞

東京大学経済学部教授 武田 晴人

 証券処理協議会資料と総称する資料群は、大別して、2つのグループからなっている。一つは、協議会の運営に関わる会議資料などの協議会活動の組織的な記録であり、もう一つは、証券処理の対象となった企業に関する企業別の資料である。
 前者は、「協議会会議記録」、「専門委員会議事録」、「金銭出納帳」などの会計記録、証券処分業務に関わる契約・統計類などである。これらのうち、協議会職員の人事に関わる記録を除いて、本マイクロフィルムに収録している。ここから、協議会がどのような判断に基づいて、株式処分の方法や価格を決定したかなどを知ることができる。「証券民主化」という改革の実施過程を知ることのできる初めての資料ということができる。
 後者の企業別の資料は、1700社あまりの企業について、「企業調査表」「再編成計画書」など協議会に提出された各種の書類が企業別にファイリングされている。調査表などの資料は、別に公開した「工鉱業関係会社報告書」(雄松堂フイルム出版刊)などとつきあわせて、敗戦直後の日本企業の実態をかなりの程度明らかにしうるものと考えられる。特に、「工鉱業関係会社報告書」が1945年秋という敗戦直後の時点での調査であり、本資料に収録されている資料はそれから数年のうちに、各企業が再建・再編を模索する中で作成されたものであることから、急激に変化する経済環境の中で、企業がどのような状況にあったかを知るうえでは貴重な資料であろう。
 有価証券報告書が刊行されるまでの数年間の資料的な空白はこれらの一連の資料の発見によってかなり補われたと考えられる。


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