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占領期の証券民主化研究の基本資料

青山学院大学名誉教授 三和 良一

 連合軍の占領下に進められた財閥解体政策のなかで、財閥家族や持株会社から持株会社整理委員会に委譲された有価証券の処理は大きな問題であった。閉鎖機関所有分や財産税物納分などを合わせて、その処理に当たったのが証券処理調整協議会であった。連合国総司令部は、有価証券の処分を経済民主化の大きな手段として重視し、特に株式が旧財閥関係者や関係企業の手に再び集中しないように、従業員や地域住民への株式売却を最優先するよう指示した。従業員や地域住民の株式購買能力には限度があったから、入札や一定価格での一般売出しもおこなわれた。総司令部は、昭和25年時点で、「三年足らずの間に、一億九五〇〇万株以上を、五〇〇万人近くの人々に分散させた証券処理調整協議会による証券処理の記録は、最も大規模かつ最も秩序ある正当な証券移転として歴史に残るものと考えている」と高く評価した。
 旧大蔵省の『昭和財政史―終戦から講和まで』の編纂に参加して、第二巻独占禁止を執筆したときに、当時、大蔵省の王子の倉庫に保管されていた木箱に詰められた証券処理調整協議会資料を前にして、その厖大さと内容の豊富さに驚いたことがある。第二巻では、その内のほんの少しだけを利用したに過ぎなかったが、独占禁止政策の一環としての証券民主化の実態を部分的にせよ紹介することができた。
 証券民主化は、その後の経済変動のなかで、当初意図されたような大衆的な株式所有として継続することはできなかったが、戦後民主化のひとつの大きな事業として、証券処理調整協議会の活動は注目すべきものである。その活動の全貌が明らかになる資料のマイクロ化によって、占領期研究がさらに進化することを期待したい。

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