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近代日本産業史・経営史の第一級資料

日本経済の展開に多大な影響を与えてきた資料群
大阪大学大学院経済学研究科教授・経営史学会会長 阿部武司
 明治11年の設立以来、数度の改組を経て今日に至っている東京商工会議所は、加盟企業の発展に関わる様々な建議・陳情を政府に対して行い、内外の経済事情等に関する多数の調査を実施して、日本経済の展開に多大な影響を与えてきた。創立期から昭和40年までに同会議所が残した膨大な資料が、このたび出版されるのは誠に慶賀すべきことである。近現代の日本を対象とする経済史・経営史などの学問分野における第一級の資料が、検索が容易なデジタル版で自由に読めるようになることが、研究を大いに促進するのは間違いない。この資料集からは日本経済の一つの特徴である、企業と政府の間で機能するいわゆる中間組織の実態の一端が詳細に判明するであろう。さらに、戦中・戦後の統制期やその後の高度経済成長期など今後の研究が期待される時期の資料が多数含まれている点も見逃せない。大学等の研究教育機関や公共図書館がこの資料集を備えることを強くお勧めする。

経済史研究に大きな意味を持つ基礎資料公開の快挙
東京大学大学院経済学研究科教授 武田晴人
 新しい資料にであうときのうれしさは、歴史の研究者なら格別である。このたび全国商工会議所関係資料の第T期として公開される「東京商工会議所関係資料」は、そうした中でもとりわけ期待がふくらむものである。一つの組織の記録がこれほど長期間にわたり系統的に残され、資料として公開される例は稀である。しかも、それが明治初期から経済団体の代表的な存在として、東京だけでなく、全国の商工業者の政策要求等を発信し続けてきた組織のものとなれば、「快挙」といわざるを得ない。数々の提言の背景やそれを基礎づけた調査資料などが豊富に含まれ、たとえば「主要問題処理記録」という680を超えるタイトルの資料群、調査関係資料に含まれる実態調査などは、これからの経済史研究に大きな意味を持つ基礎資料となると思われる。公開に尽力された関係者に謝意を表するとともに、これらの研究材料が多くの人たちの手に届き、豊かな成果が生まれることを願っている。

情報センター商工会議所が作成した良質の資料
成蹊大学経済学部教授 松本貴典
 「資料耽溺の愉楽」というものが許されるなら、歴史学者なら一度は味わってみたいものである。今回、全国商工会議所関係資料の第I期として刊行される『東京商工会議所関係資料』は、利用者にこの機会を惜しみなく与えるだろう。利用者は、精読、熟読、味読、解読と、さまざまな愉しみ方ができそうで、この発刊はまさに快事である。
 商工会議所は、中間組織として、おもに「情報センター」と「産業会議」の機能を果たした。ここに収録されたあまたの「調査」「統計」「報告」「資料」は、情報センターとしての商工会議所が作成した良質の資料である。膨大な「会報」「建議書」「意見書」「往復文書」は、商工会議所が、政府や自治体の政策に関して、その誘導者とも媒介者とも防波堤ともなった事実を鮮明に浮き彫りにするだろう。
 以前刊行された『本邦商業会議所資料』についで、今回、第一級資料の宝庫がきわめて利用しやすい形で刊行されることをよろこばしく思う。思わず食指がのびる資料が満載で、この豊饒の海で大漁を予感しない研究者はいないだろう。お勧めする。


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