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■ ごあいさつ 

東京商工会議所

 東京商工会議所設立130周念記念事業の一環として、当経済資料センター(旧・商工図書館)が所蔵する資料のうち、東京商工会議所刊行物とその関係資料をデジタル化して内外の研究機関・研究者の要請に応えることになりました。
 2010年に、第一期「東京商工会議所関係資料」として、設立(明治11年)以来の建議書をはじめ陳情書・意見書・調査資料等を総タイトル9,684点、約48万画像をDVDに収録・刊行いたしました。
 この度さらに第二期として「東アジア日本人商工会議所関係資料」刊行の運びとなりました。約6,600点、2

4万画像に及ぶ日本国外(東アジア)64都市の日本人商工会議所資料を収録しています。明治中期から昭和初期の近代日本産業史、経済史の研究に大いに役立つ資料として、また、デジタル化によって利便性が高められ研究の一助として活用いただければ幸いです。
 なお、今回の刊行に際し、ご協力いただきました株式会社雄松堂書店と石井寛治先生をはじめ刊行委員会の方々には、深く感謝申し上げる次第です。


■ 第II期の刊行にあたって 
戦前日本の対外経済膨張の研究の飛躍的深化へ
全国商工会議所関係資料刊行委員会 石井寛治(東京大学名誉教授)

近代日本は、欧米先進国からの圧力に抗して産業革命を達成しつつ、近隣アジア諸国への政治・経済支配を拡大し帝国主義化したが、満州事変以降の戦争と敗戦を通じて日本の帝国支配は解体した。何故そうなったかを、日本を含む東アジア経済全体の発展の深みから、さまざまな経済主体に即して明らかにすることは、未だ十分に行われておらず、そうした歴史認識の不明確さが、日本人と近隣アジアの人々の間での無用な摩擦を生む大きな原因となっている。政府と民間の中間に位置する経済団体の所蔵資料によって、日本のブルジョアジーを中心とする経済主体の主体的・客観的役割を検討することは、こうした未解決な難問を解き明かすうえで、大いに役立つであろう。今回、第二期資料集として刊行する東京商工会議所所蔵の東アジア各地の日本人商工会議所関係資料には、朝鮮・台湾植民地はもちろん、中国東北部(「満州」)や中国関内などの主要都市に設立された日本人商工会議所関連の膨大な資料が含まれており、それらを参照することにより、日本人のアジア各地での活動が、どのような影響を進出先の地域の政治・経済に与え、如何なる反作用を受取ることになったか、そして「排日」等の反作用を日本人がどのように認識して対応したかを克明に知ることが出来る。本資料が多くの研究者によって活用され、戦前日本の東アジアへの対外経済膨張の実態分析が飛躍的に深まることを期待している。

推薦します:貴重このうえない歴史資料
波形昭一(獨協大学経済学部教授)

 私が商工(商業)会議所関係の資料に関心を抱くようになったのは、20年ほど前、在外経済団体研究会を同学の士と立ち上げたころのことである。そのころを振り返ると、今回の第II期プロジェクトがいかに勇気と根気を要する難事業であったかが想像され、隔世の感を禁じ得ない。戦前期の商業会議所・商工会議所は、構成員の広域性と業種横断性にその一大特徴があり、その場その時の利害の集散地、調整の集積地とでもいうような機能を果たしていたから、日本の近現代経済史研究にとって、その活動の記録は貴重この上ない歴史資料であり続けてきた。しかし、戦前の東アジアに散在した日本人経済団体については、これまでその存在すら知られず放置されたままであった。ようやく近年になって注目され始めたのは、ポストコロニアル論、帝国論、グローバリゼイション論など歴史見直しの潮流に影響されてのことであろう。在外経済団体はいわば無名・無資本の商工業者が業種別垣根を越えてゼロから築いた前線基地であったから、その活動内容には国境性の生々しさが滲んでおり、そこに歴史研究者はある種の臨場感を覚える。ただ、戦前・戦中期の在外経済団体は東アジア諸国・諸地域に広く散在していたために、現在ではその活動記録を悉皆調査し、統一的に保存することがきわめて困難な状況にある。それは、なによりもアジア太平洋戦争の結末によるところが大きいのだが、それだけに、まずは日本国内に現存する活動記録を調査・保存し、これを後世への引継事業、つまり遺産とすることが求められる。この第II期プロジェクトは、必ずや将来における日本の近現代経済史研究を大きく前進させる礎となるであろう。


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