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The Trans-Pacific, 1919-1940

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戦間期の太平洋地域研究の新しい視覚

財団法人渋沢栄一記念財団研究部部長 木村昌人

第一次大戦後,五大国の一角を占めるようになった日本に対して、国際社会の関心が急速に高まった。東京は太平洋アジア・オセアニア地域の情報拠点になり、外国人特派員が競って日本発の情報を世界へ発信するようになった。本誌編集兼発行人のベンジャミン・W・フライシャー(Benjamin W. Fleisher 1870-1946)もその一人である。彼は1908年来日以来、The Japan Advertiserの特派員を経て、1913年United Press Association of Americaの極東特派員となり、New York World, New York Timesなどに寄稿、1940年に米国へ帰国するまで30年以上日本に滞在したベテランの特派員であった。1919年に月刊誌として同誌を発行し、のちに週刊誌とした。同誌はビジネス活動が極東、オセアニアの社会と人々の生活にどのような影響をもたらしているのかという一貫した視点から、1919年から1940年という両大戦間期に関する客観的なデータに基づく現状分析記事を掲載している。(一部年代は『聯太平洋 国際財政経済雑誌』として中国語と日本語でも発行されている。)
辛亥革命以後の不安定な中国情勢、ロシア革命、ワシントン会議、ソ連における共産主義革命の動向、太平洋における海軍軍縮、関東大震災、米国における排日移民法の通過、1929年のウォール街株式大暴落に端を発した世界大不況の影響、1931年の満州事変以降、日本の中国での軍事経済行動など、欧米諸国に直接的にかかわる出来事を理解するために不可欠な基本情報を満載している。つまり財政・経済・産業を中心とした各国の状況について井上準之助、大隈重信、高橋是清、原敬、孫文、徐世昌、ハーバード・フーバー、ロバート・ランシング、E・H・ゲーリーなど各界一流の人物と各地域の外交官・特派員が寄稿している。日本、中国、極東ロシア、米国、カナダ、中南米、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、南洋諸島などの財政・経済・産業動向と相互依存関係について、これだけ長期間にわたり網羅した英文による詳細な分析記事が掲載されている史料はほとんどない。
各国史を超える国際関係史、国際経済史、国際経営史、太平洋地域交流史、移民研究、トランスナショナル研究などの第一級史料といえよう。また同誌に掲載されている企業広告からは、企業活動、消費者心理など当時の社会生活状況の一端が浮き彫りになる。ポスターデザインも斬新で、社会史、生活史、アートヒストリーの研究にも活用できよう。両大戦間期の太平洋地域研究の総合化や新しい視角の発掘に必読の史料である。


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