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精選近代文芸雑誌集

資料提供協力機関

作品創出の現場を押さえる─編集にあたって

編集顧問 紅野 敏郎(早稲田大学名誉教授)


 作家の生原稿から雑誌(新聞)へ―ということで、はじめて読者は作品に接することが出来る。そのういういしい初出の匂い、現場風景の確認こそ文学史構築の第一歩である。透谷・藤村らの『文学界』、鉄幹・晶子らの『明星』、武者小路・志賀・有島らの『白樺』、『早稲田文学』『三田文学』、さらに『種蒔く人』『文芸戦線』『文芸時代』など、近代文学の中軸雑誌の多くは、幸いにして複刻され、博文館の『太陽』、春陽堂の『新小説』、新潮社の『新潮』などの商業雑誌も、マイクロ化の恩恵に浴し、私たちはほぼ満たされたかのような錯覚に陥ることがある。
 ところが根幹雑誌以外ということになると、然るべき機関で然るべき努力はなされてはきたが、それはあくまでも若干のものであり、文学が中心となりつつも、右に演劇、左に美術をオーバーラップさせるキメ細かい作業となると、まだまだ不十分。そこでこのたびは、従来複刻、マイクロ化されたもの以外で、重要と考えられる諸雑誌を「精選」し、マイクロ化をはかることで、これまでの不十分さをカバーし、近代文学研究に直接大きく寄与する営みに乗り出すことにした。
 といってもこの計画のリストを眺めていただければわかるように、現物がすべてそろっている機関は、ほとんど皆無といってよい。一部分そろっていても、今日の段階では、現物の完全な保存はきわめてむずかしい状況になっている。複刻が最善だが、それには莫大な費用、歳月が必要となる。そこで入手し難いが、出来る限り完全そろいのものにすべく努力し、時代とのかかわりと作品創出の現場を押えるべく、マイクロ化の作業を推進する決心をした。
 対象は1900年前後から1945年ぐらいまでに発行された雑誌とした。名は知っていても、手にとって繰ったことのないもの、あるいはまったく知らない総合雑誌、同人雑誌、演劇雑誌、美術雑誌の「精選」された一大変化球版と考えていただければ幸いである。
 このマイクロ化により、早稲田大学図書館所蔵のものも、保存と公開をめぐっての矛盾が一挙に解消される。探索に際して、御協力いただいた諸機関、提供してくださった関係各位に篤く御礼申し上げます。



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