このたび早稲田大学図書館では、『明治期刊行物集成』『大正文芸書集成』にひきつづき、新たな構想のもとに、マイクロフィッシュ版『精選近代文芸雑誌集』を刊行いたします。
わが国の近代文学の流れの中で、「雑誌」が果たした役割がきわめて大きいことは、もとより多言を弄するまでもありません。さまざまな小説、詩歌、戯曲や評論、翻訳などが、たとえば明治24年、坪内逍遙により創刊された「早稲田文学」をはじめとする、さまざまな文芸雑誌、あるいは総合雑誌の文芸付録などに発表され、多くの読者を得て、近代文学の花が開いていった経緯は、すべての出版史・文学史の説くところです。
雑誌を完璧な形で復元するのは、きわめて難しい仕事です。明治から昭和まで、数えきれないほど多くの雑誌が創刊されましたが、どの雑誌についても、その跡をたどることは容易ではありません。ほんの数冊を出しただけで消えていった雑誌もあれば、長く命脈を保った雑誌もありますが、それぞれの雑誌が完全な形で保存されているという例はむしろ稀であり、なかには、雑誌の存在そのものがもはや確認できないものもあります。
関係各機関のご協力を賜りながら、これまでに復刻されていないいくつかの文学史上貴重な雑誌を、できるかぎり完全に近い形で復刊することが私たちの目標です。この企画が、近代文学の隠れた水脈を掘り起こす一助となり、文学史、また広く日本近代史、文化史研究の上に裨益することを願ってやみません。
2001年 10月