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Net Pinus 62号

雄松堂フォーラム2005

2005/12/27
発見された古代エジプト

「エジプト誌」画像紹介 その3(現代編・博物編)
以下の画像はクリックすると拡大します

25.
フィラエ島 北東部からの眺望

「エジプト誌」は大きく分けて、古代編、現代編、博物編から成ります。今までは古代編でここからが現代編です。現代編は調査当時の状況を描いたものですが、らくだが歩いていたり、帆船が川を航行したりという非常にロマンティックな要素も画面に含まれています。

ハッサン・カシェフの家
26.
カイロ 
研究所の集まりに使用された
ハッサン・カシェフの家

ナポレオンはカイロに入るとエジプト研究所を作らせました。ここにナポレオンが視察しに来たところです。フランスが敗戦し、着の身着のままでフランスへ帰還した際、まず科学調査の中心人物であるドゥノンと遺物の絵を真っ先にフランスへ送りました。そのおかげでこの遠征、戦争には負けましたが、文化的には非常に大きな功績をあげました。のちにドゥノンはルーブルの初代館長となり、パリ社交界の花形となります。エジプト探検から帰還した人物は当時かなりもてはやされたようです。イギリスでは元サーカス芸人であったベルゾーニもエジプトに赴き、その探検記は大ベストセラーとなりました。つまりエジプト帰りは流行の最先端をいく人物となったわけです。

ハッサン・カシェフの家
27.
エジプト クロトキ

ここからが博物編です。博物編は版画がすごい。鷲や鷹の映像の実物なども見ると分かりますが、羽の一枚一枚が細かく描かれています。クロトキはエジプトでは神聖な鳥とされて、象形文字にも使われていました。鳥に色が付いているのはめったにない、珍しい図版です。

エジプト クロトキ
28.
エジプト スッポン

スッポンはヨーロッパでは殆ど生息していないのでヨーロッパ人にとってはとても珍しい生き物でした。なかなか背景もしっかり描かれていてスッポンとはいえ立派な命題になっています。ただスッポンは水中で生活しますのでこれも実際にはあり得ない光景を描いたものです。

エジプト スッポン
29.
ナイルワニ

研究者たちはワニに対してかなり関心が高かったようです。

ナイル川の魚類
30.
ナイル川の魚類
ポリプテルス

古代魚、肺魚です。20世紀のシーラカンスの発見に勝るとも劣らない19世紀最大の魚類の発見でした。

メンフィスのピラミッド
31.
ナイル川の魚類
モルミルス

象の鼻のように口がのびている、象鼻魚といわれる魚で、これもナポレオンのエジプト遠征で発見されました。

ナイル川の魚類
32.
エジプト ハス

エジプトの最も聖なる植物で、どんな古代遺跡を見ても必ず描かれています。

エジプト ハス
33.
ドーム椰子

拡大するとわかりますが細かさがすごい。椰子の葉の一枚で、濃淡から照りまで点描といわれる技法で丁寧に描かれています。

ドーム椰子
34.
ドノン「エジプト旅行記」口絵
Denon, Dominique Vivant, Baron
“Voyage dans la Basse et la Haute Egypte”

命令された「エジプト誌」があまりにも巨大で、かなりの年月を要すると考えたドゥノンは、エジプト誌が出版される前に自分が描いたエジプトを私家版として出版しました。この旅行記は爆発的人気をよび、皮肉なことにイギリス版でも出版されました。

 ドノン「エジプト旅行記」口絵
35.
ドゥノン「エジプト旅行誌」扉絵

先程のエジプト誌の扉絵の前身ともいえる扉絵です。ピラミッドに始まり上流に近い建物が見え、有名なネムロンの巨像が出てくる。つまり上から下までのナイルの遺跡をセットにした一枚です。これが先に出版されたので、「エジプト誌」はもっと力を入れ、ずっと向こうまで見えるようにしたのではないかと思われます。

ドゥノン「エジプト旅行誌」扉絵
36.
ロバーツ「聖地」
Roberts, David “The Holy Land”

エジプトブームがおこり観光地となるとエジプト誌とは違う観点でエジプトについての本が出版されました。これはエジプトに行ったら必ず見なさいという名所を紹介した、観光絵図の走りといえる画集です。ピクチャレスクといわれる古代と現代をロマンティックに結合させた絵を使っています。

ロバーツ「聖地」

最後の方は駆け足のご紹介となりましたが、ナポレオンのエジプト遠征は戦争という政治的な意味から、それによって作られたエジプト誌により、当時のヨーロッパの文化、そして観光までその影響をおよぼしましたことがおわかり頂けたと思います。当時のエジプトブームの名残で、現在でもパリでスフィンクスをはじめ、エジプト風の装飾を見つけることができます。是非訪れたときには探してみてください。

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62号 2005/12/26
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