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Net Pinus 82号

新・古書への扉

2011/7/31
新・古書への扉

新古書への扉-古書の愉しみは十人十色-
専門知識がないと・・・そんなイメージを古書に持っていませんか?
実は古書の愉しみ方は100人100通りなのです。もっと気楽に、自由に古書を眺めてみましょう!

文字を読んで先人の知識を探求するのはもちろんですが、本はそれだけではありません。精巧な皮装幀から職人のこだわりに感銘をうけたり、写本のタイポグラフィーに斬新さを発見したり、一枚の美しい挿絵をぼんやりとながめてみたり・・・。ちょっと手ののばしにくい古書の世界に通じる扉・・・どの扉から入っても結構です。是非一度、古書の奥深さを覗いてみませんか?

画像はクリックすると大きくなります。

「ケルムスコット・プレス刊本」目録完成!

●「ケルムスコット・プレス刊本」とは

 1891年から98年にかけて、ウィリアム・モリスによりに設立されたケルムスコット印刷所で刊行された書物のことです。

 大英帝国の絶頂期といわれるヴィクトリア朝時代は、生産の効率化を追求する「産業革命」の成熟期でもありました。粗製乱造という言葉に代表される安価で粗悪なモノが大量生産されていたこの時代に、モリスはこれらを批判し、中世のモノ作りを主張しました。そして1875年に「モリス商会」を設立し、壁紙や家具等のインテリア、そして1891年にケルムスコット印刷所を設立、書籍の制作を開始しました。全53ナンバー(54タイトル)、67冊で構成された本シリーズのために、モリスは活字のデザインや挿絵、用紙、製本およびレイアウトなど書物に関するすべての工程に責任を持って関与しました。
 こうしてモリスにとっての「理想の書物」を追求した結果、「ケルムスコットプレス刊本」が完成したのです。

 

タイトル頁下方、出版年部分

全53点完全揃いのセットです。
久々に全部揃ったケルムスコット・プレスを見ると筆者は感激します。

K大学名誉教授T先生もまじまじとご覧になってました。

まずは「チョーサー著作集」。

口絵画像

この迫力、というか美しさを見て下さい。
ケルムスコットの「チョーサー著作集」を展示するときはほぼ100%この頁を使います。
マー使いたくなる気持ちも分かりますね。

口絵画像


この頁はすべて木版画です。

口絵画像

たった438部印刷するために版木を削り、手漉き紙に刷ったわけです。
もったいないけど、究極の贅沢ですね。
その内13部はヴェラムに刷られています。
20世紀末のオークションでは一億円以上で落札されたようです。

次に、

ヴェラムといえば、本セットの「トロイ戦史抄」はすごいですよ。

口絵画像 口絵画像

この写真ではわかり辛いですが、第2巻巻末にヴェラム刷り校正見本4葉が含まれています。
おまけに試刷と思われる紙刷リーフ28葉も。
全305部印刷された中で、ヴェラム刷り刊本はたったの5部。

装丁も特殊ですね。
販売された本書の装丁は通常軟ヴェラム装丁。

口絵画像

このタイプの装丁です。通常版の写真が無くてスイマセン。

 

この本はクォーターホランド装丁。(背麻布マウント青厚表紙装丁と呼ばれています)

口絵画像

あら不思議。
たぶん見本刷りでしょう。
これ以上、口頭では言い表せません。
いつでも見に来て下さい。

事前にご連絡(03-3357-1417)頂ければ筆者がご説明致します。(拙い説明ですが、ご了承下さい)

 

最後になりますが、なんと幻の「フロワッサール年代記」もございます。

口絵画像

皆さん本物、見たことないでしょ。
小社に来れば、筆者立会いの下で目の前でご覧頂けます。
美術館や博物館に収蔵されると、二度とは無理ですよ。

こちらも特殊で、販売されたヴェラム刷り160部と、関係者に配った紙刷り32部が一緒に製本されています。
ほとんどイリュージョンの世界ですね。

是非この機会に、モリスの魔術をご堪能下さい。
お待ちしております。

(小社営業時間:月〜金 午前9時〜12時、午後1時〜5時、休日:土・日および国民の祝日)

口絵画像
フォレイン「黄金伝説」 全3巻
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「ボロニイのゴドフレイとエルサレム征服物語」に
付属している「レイナアド物語」試刷
口絵画像
コッカレル編「聖処女マリア讃」


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ケルムスコットプレス刊本

82号 2011/7/31
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