「ビブリア」CD-ROM版を推薦する

慶應義塾大学附属研究所斯道文庫長
関場 武

 ビブリア第1号は、1949(昭和24)年1月、戦後の「猶ほ現實の混沌たる坩堝の中に、あれよこれよと徒に藻掻いてゐる」(創刊辭)時期に、典籍学会の機関誌として養徳社より発刊された。編輯後記には「年三回乃至四回刊行の豫定であるが(中略)月刊も難事ではない」とあり、その意気込みも十分窺えたが、諸種の事情により1950年3月の第2号が出た後、休刊を余儀なくされた。

 そして5年後の1955年3月に復刊が成り(第3号)、天理図書館編「天理図書館報ビブリア」として天理大学出版部から出るところとなったのである。以後は順風満帆、年に2ないし3回宛発刊され、広く古今東西の典籍を愛する者、古文書・古地図等に関心を持つ者達に、強く深い刺激を与え続けて来ている。

 創刊号の石田幹之助、栗田元次、神田喜一郎、泉井久之助、森銑三、頴原退蔵氏ら、また復刊第3号の新村出氏、座談会「綿屋文庫について」に参加された岡田利兵衛、中村俊定、野間光辰、中村幸彦、杉浦正一郎氏ら、錚々たるお名前を拝見しただけでも本誌の内容の濃さ豊かさが想われるが、その後の富永牧太、木村三四吾、金子和正氏ほか、多くの優れた館員・司書の方々の献身的な御努力も勿論忘れてはならない。

 小生自身、図書館に度々お邪魔し色々とお世話になったことも忘れられない思い出であるが、第28号(1964年)の「西鶴新資料特輯号」や、第55号(1973年)の「犬枕」等を興奮しながら読み耽ったこと、第23号(1962年)の「富永先生華甲記念古版書誌論叢」の重厚さに圧倒されたこと等々も懐かしく思い出す。

 書物は勿論現物を手に取って見るべきであるが、必ずしも常にそれが叶うわけではない。精緻な論考や資料紹介等が数多く掲載されているビブリアを、CD-ROMという新しいメディアで広く、かつ手軽に利用できるようになったことは、学界にとって慶賀すべきことである。  

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