ベリー聖書とは
ベリー・セント・エドマンズ修道院の Gesta sacristarum に記録された聖書と同一のものと推測される写本聖書(514 x 353 mm、ケンブリッジ大学コーパス・クリスティ・カレッジ所蔵 MS 2)。修道院長トールボット(在職 c. 1125-38)の時代に、その兄弟で聖具室係のハーヴィーが作らせ、「画家ヒューゴ」(magister Hugo)によって彩飾されたとの記録があり、そのことから製作年代は1135年頃と推測されている。記録によれば装飾部分については良質な羊皮紙が現地で手に入らなかったため、スコットランド(もしくはアイルランド)から調達したという。このため細密画部分のみ別の羊皮紙を本文に繋ぎ合わせる形で作られている。聖書中の六つの書の冒頭に全頁大の細密画が残されており、これらは赤・青・緑・紫などの強い色彩で彩られている。これらは、同じくベリーで「セント・オーバンズ詩篇集の画家」によって同時期に制作された『聖エドムンドゥスの生涯と奇跡』(ピアポント・モーガン図書館 MS. M. 736)に類似する点があるものの、より色彩が明るく、厚く塗られている。特に人物像において、衣装の襞によって手足の位置を浮き立たせる画法が特徴的で、この手法はビザンチン美術に遡るが、画家ヒューゴはおそらくこれをドイツ、フランス、イタリアの美術を介して知ったものと思われる。
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