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文芸作品にとって、初めて読者と出会う場は、多くの場合「雑誌」である。著者は1910〜1930年代に創刊された文芸雑誌を中心に、総合・美術・演劇のほか、PR誌をも含めた90余特に同人雑誌にも注目して検討した。
そこには、作家たちがジャンルを越えて切磋し、美術・映画など他の分野の芸術家たちと活発に交流・影響しあう、一種「雑」駁な、しかしエネルギッシュな姿があった。
「雑誌」という切り口が、作家たちの縦横な活動状況をそに鳥瞰することを可能としたのである。そしてここでの知見の数々は、来るべき文学史の再構築へ向けての礎となるであろう。
体裁の整った全集や単行本よりも、擦り切れた雑誌一冊の語りかける言葉は、時に力強い。それはそこに作品の生み出された現場の熱気がそのまま籠っているからである。本書は必ずや近代文学生成の現場に至る手がかりとなるであろう。 |