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News from the World of Books Vol. 66
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My Reminiscences of Antiquarian Books

創業77周年を迎えて

昭和32年、当時としては大変運が良かったと思う。大学の恩師のルートを通じてゼミのテーマ「会計学」を勉強するため、父母からの協力を得て、アメリカへ留学した。ニューヨークは4月なのにまだ雪が降っていて、ホームステイ先のロスマン夫妻に空港まで迎えに来ていただき大変嬉しかった。ほんの10年前まで大きな戦争をしていた国なのか?と感慨無量だった。
お世話になったロスマン夫妻が住んでいたのはハドソン川近くのハッケンサックという町だった。ロスマン氏は私が渡米する少し前までニューヨーク大学の法律図書館館長をしておられ、当時法律専門の出版社としてすでに著名な「本屋さん」であった。そんなこともあり、特にアメリカ東部の大学図書館や法律の専門家、法律や会計事務所に私を連れて行っていただいた。
恩師からは会計事務所、銀行等へ就職の勧めがあったが、戦前まで父が営む神田神保町の古書店で「古本の山」の中で育った環境や、ロスマン氏との出会いがあったので、一年後に帰国をしてから、私は迷わず本屋をスタートすることを決心した。それは外国から学術専門書を輸入し研究機関に販売するという当時としては未開の仕事で、ベンチャービジネスであった。父が昭和7年に創業した雄松堂を株式会社化して、昭和35年2月に四谷で10人くらいの若い人達と一緒に創立してから来年2010年2月で満50年になる。
創業時には大手の出版社や書店は戦争から立ち直って折からのブームで盛況を極めていたが、「専門洋書や西欧古書籍」については殆ど誰も扱っていなかった。他の業者より一足先にアメリカに出かけた経験があったので、「大きな企業になるより良い企業になろう」をスタートからの合言葉として頑張ってきた。
国際会議のパネリストとして出席した新田会長(右端)
ロスマン氏やアメリカの出版業界の人達や図書館界の人達には大変お世話になった。雄松堂書店は無店舗の企業であり、90%以上は輸入をしたり、海外の人達と共同で造り上げた出版物や欧米の入札で購入したアンティークな古書等を直接お客様にお届けすることに重点を置いてきた。利益率が高いのでその分を展示会やセミナー、内外の人達との交流等に前向きに投資してきた。雄松堂書店を分析していただいた機関から一口に言うと、「出会い創造型企業」と表現された。中小専門企業は、人との出会いや絆の創造こそ生き残ることが可能ではないだろうか。
今、出版・書籍業界、そして図書館の在り方等、私達を取り巻く情勢は大きく変化している。今日のIT化の波は15世紀のグーテンベルグの活字印刷が人類に与えた大きさに劣らない大きな変革を人類に問いかけている。別の見方をすれば、私達が人類であり人間である限り「活字文化」本を読むことは今まで以上に大切な時代を迎えるかもしれない。人との出会い、絆を大切にして改めて「良い企業」とは何かを求めて努力していきたいと思っている。

 東京商工会議所機関紙 東商新聞7月20日掲載


August 1, 2009
雄松堂書店グループ代表
新田満夫

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