個人の礼拝用に用いられた書。本文の中心を成す「聖母マリア小聖務日課」は聖務日課をもとにしており、一日八回、定時に行われる礼拝を簡略化したものである。この本文はすでに10世紀から知られていたが、元来は高位聖職者によってのみ読まれたもので、広く使用されるようになったのは12世紀に入り、時祷書が登場する以前の一般的な個人用礼拝書である詩篇集(Psalter)の本文に付け足されるようになってからである。個人により「聖母マリア小聖務日課」が朗誦されたのは、平信徒が聖職者の祈祷を真似ようとした願望の現れであった。 「聖母マリア小聖務日課」のほかに、「典礼暦」、「諸聖人の連祷」、「とりなしの祈り」、「死者のための小聖務日課」(9世紀頃から登場)、「悔罪詩篇」(詩篇 6, 31, 37, 50, 101, 129, 142。13世紀の時祷書に初めて加えられた)、「都詣での歌」(詩篇 119-133)、種々の祈りなどがしだいに付け加えられた。さらに、「十字架の小聖務」、「聖霊の時課」、「三位一体の時課」、「受難の時課」などの聖務が時祷書に含まれることもあった。時祷書の標準形は13世紀ごろに整い、16世紀まで幅広く使用され、特にフランスとフランドルにおいて盛んに用いられた。時祷書の本文は各地方・教会の慣例により若干の相違がある。 時祷書は中世のベストセラーで、比較的多数の書が残存している。ほとんどのものは彩飾が施され、彩飾の程度は依頼主の予算に相当していた。本文の主要な区切りに細密画が入れられていることが多く、これら細密画には、聖母マリアやキリスト、ダビデ王の生涯からの場面、聖人、死や最後の審判に関係した場面などの主題が描かれ、依頼主の肖像が入れられることもしばしばあった。また図像の他、装飾頭文字が入れられていることもある。 Michelle P. Brown, Understanding Illuminated Manuscripts: A Guide to Technical Terms.
「時祷書」とは?
(Los Angeles: The J. Paul Getty Museum in association with the British Library, 1994) より抜粋・翻訳
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ランブール兄弟の傑作 豪華ファクシミリ版 ベリー公の 美わしき時祷書 |
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