ついで祖母の名を取った『留女』に移ると、これまた洋服のシンを用いた布製の地味な本だが、堅牢そのもので、橋口五葉装幀の「胡蝶本」のヤワな華麗さなどは一切退けられている。この『留女』をなつかしく眺めながら、同じく太い別の万年筆を取り出し、
とタスキのない
まで一気に書ききり、これは印を押そうと、康子夫人に用意させ、小さいが、「賀」と「直」の明白にわかる印を力強く押された。
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