Interview

「求めていれば本のほうからやってくる」


■古書店巡りはいつ頃からなさっているのですか。


僕の場合は昭和30年ちょっと前位かな・・・大学を出て高校の教員をやり始めた時、東中野の六帖一間に住んでいたんです。給料10000円で部屋代が2000円だったかな。中央線沿線の古本屋が安かったので一駅ごとに降りては、中野にはどこどこ、荻窪にはどこどこ、と行きつけの古書店があって・・・神田の本屋より安かったんです。特に荻窪に古書市が開かれていて、当時で1000円札一枚持っていけば何冊か買えましたね。


■それにしても当時のお給料を考えると相当な金額ですよね。そうやって本屋巡りをして当時の本を手に入れていったのでしょうか。


神田の古書市が開かれるようになったり、目録が送られてくるようになったり・・・。直接本屋に行く場合は、ある目的をもって行くというより、思いもかけず巡りあう場合が多いですね。横を見ると目的とは別のものだけれど、ああこれはいつか研究に関係してくるだろう、と思ったら値段が見合っていれば手に入れる。最終的には白樺派を全部という心意気でしたから・・・も長与善郎も目に付いたら買う、というような集め方をしましたね。


■そのうちにいつかは見つけてやろう、というくらいの気の長い心持ちでいなくてはということですか。


いや、「求めていれば必ず本の方からやってくる」という気構えですね。女性を見つけるのはそうはいきませんが。(笑)不思議に僕の知っている友人たちでも、自然に本が手に入ると言う人が多くいますね。


■とても興味深いご意見なのですが、その、本が自然に手に入るというのは、時間的に、欲しいと思い始めてから1年や2年ではないんですよね。


時間としては長いですよ。10年もかかって本を思い、それで手に入るものもあるし、まだ手に入らないものもある。




●研究者としてのコレクター ●時代の微妙な問題が浮かび上がる当時の本 ●志賀直哉本の豪華さとは ●本に見る画家との親交 ●志賀直哉処女作品集「留女」 ●志賀直哉の印象 ●親交の中で頂いた「動物小品」 ●「求めていれば本のほうからやってくる」 ●「求め続けている」本について ●自然な生活態度が「本」を求める ●現代の出版状況に関して一言 ●志賀直哉その人について


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