今回ご紹介頂いた本のこぼれ話や、先生の本との関わり合いの歴史や本への思いを同時にお伺いいたしました。

子供の時から博物書好き
◆先生は博物学の本を相当集めておられるとお聞きしましたが、今回ご紹介下さった『日本蝶類図譜』のような昆虫関係の本を収集することから始まったのでしょうか。

小西氏の写真そうですね、好きなことは何でもやらせてくれる両親でしたので、私が昆虫学者を目指していることを知ると色々と本を買い与えてくれました。幼少の時、一番心に残っているのは昭和5年に刊行された『コンチュー700シュ』(岡崎常太郎著)という、全てカタカナで書かれた原色版の図鑑ですね。当時まだカナ文字を読めなかった私はこの図鑑を読むためにカナを覚えたんです。あと「昆虫趣味の会」という団体の出している機関誌『昆虫界』なんかも小学校に入るか入らないかの頃から取ってくれたんですよ。

◆子供の時から昆虫少年で、昆虫に関する本が大好きだったんですね。

私の昆虫好きは3つの時、仲良しの姉を疫痢で亡くして意気消沈し、家に閉じこもってしまったのがきっかけだったんです。当時私たち家族は父親の仕事の関係で秋田県に住んでいました。その家の庭は大変広く、昆虫の格好の棲息場所で、家に閉じこもっていた私はそこに住む昆虫に興味を示し、観察したり採集したりしていました。そして小学校に入る前から将来は昆虫学者になろうと決意し、親もとても協力してくれました。

◆子供の頃からの夢を実現させることは大変うらやましい話ですけれども、やはりそういった当時恵まれた環境やご両親の理解があったことも大きいんですね。

蝶そうですね、終戦のあの何もない時代に今回ご紹介した『日本蝶類図譜』など買ってきてくれるものだから、博物書の魅力にとりつかれるきっかけになりましたね。食うものも食わず、着るものも着ずに本を買ってました。おかげでいつも本のために貧乏してますよ。

◆先生をそこまで惹きつける博物書の魅力って何だと思います。

やはり自然が好きだってことじゃないでしょうかね。こうやって学者仲間にも愛書家はいるけれど、昆虫の専門の人は昆虫の本、植物の専門の人は植物の本と偏る人が多いです。私は専門は昆虫だけど、鳥、獣、植物など生物全般にわたって興味があるので気に入った本は古書でも新書でも買ってしまいますね。


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