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刊行にあたって


統合データベースの目指すもの
東京大学大学院経済学研究科教授 武田晴人

 経済史でも経営史でも実証研究のための資料は、研究活動の基盤を提供する。この資料への接近には、これまでも、そしてこれからも多くの研究者にとって重要な問題となる。新資料を発掘し、それを分析することは、研究の進展に力になるだろう。そうした資料収集や保存・公開の努力は歴史研究者が共同で取り組んでいくべきものである。
 その一方で、存在が知られ一部公開されていながら、それらの資料が特定の場所に保管され、利用するために遠距離移動や費用が必要となる資料群も少なくない。国際的に見れば、そうした資料群のなかには、公文書であれ企業資料であれ、オンラインでの検索や閲覧が可能になってきたものもあり、資料利用の利便性は格段に高まっている。
 企業史料統合データベースは、そうした流れに沿う試みとして企画された。まだ、公開されるコンテンツには限りがあるが、企業財務データ利用の利便性が高まれば、それだけでも研究活動の活性化に貢献するであろう。とくに戦後史の研究が本格的な展開を見込まれる時期に、目論見書や有価証券報告書が利用できるようになることは重要だろう。
 しかし、これはまだ出発点と考えている。近い将来、社史や関連資料などもいずれはコンテンツに取り込み、さらに国内の企業史料館や文書館の協力を求めて、所蔵する史料群をバーチャルなアーカイブとして統合していくことが構想されている。それが実現すれば、研究のインフラは格段によくなるであろう。その意味では、このデータベースは、出発時点では未だ「建設中」。そして将来にわたってそうした内容の充実の作業が、多くの方の協力の下に続けられることになる。利用者として公開資料に接するだけでなく、データベースの充実のためにそれぞれができる範囲での協力もお願いしたい。そうした共同の作業によって多くの史料が学界の共有の財産として利用されることを期待している。









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