中国海関档案史料 China and the West: The Maritime Customs Service Archiveのマイクロ化によせて

慶應義塾大学経済学部教授 古田 和子

 このたび、中国第二歴史档案館が所蔵する中国海関档案史料のマイクロ化が、The Maritime Customs Service Archive(全7ユニット)として開始された。中国の税関である海関は、外国人税務司制度のもとで関税の徴収業務を行うとともに、一連の膨大な報告書類を作成した。そのなかで貿易統計ならびに貿易報告(Returns of Trade and Trade Reports)はすでにマイクロ化されており、各地の海関統計を利用した研究が主として中国経済史の領域で蓄積されつつある。1854年に上海で創設された外国人税務司制度は、1858年の天津条約通商章程で中国の全開港場に一律に導入されることになり、北京には各海関を統括する総税務司のポストが置かれた。初代総税務司Horatio Nelson Lay以来、Sir Robert HartやSir Francis A. Aglenなどがそのポストに就き、清朝から中華民国にいたる近現代史のなかで、政治・外交・経済にわたって重要な役割を担った。全7ユニットの最初のユニットであるInspector General's Circularsは、この総税務司によって出された7000を超える通令を1949年にいたる全期間を通して集録したものである。総税務司の通令は、従来その一部しか公刊されていなかったので、本史料は海関の業務全般を把握、検討するうえで欠くことのできない基本史料である。
 海関は関税の徴収をとおして清朝の財政と密接にかかわる存在となった。さらに関税が外債や賠償金の元利支払い資金としての重要性を増すにしたがって、海関が中国史上に占める位置はさらに大きいものとなっていった。海関の史料には、その業務の多様性を反映して、内外の交易・貿易・密輸、重要商品解説、海関職員録や執務要項のほか、郵便業務、政治・国際関係の記録、疾病・医療や気象情報、特定のテーマにしたがった調査報告などが含まれており、政治経済だけでなく中国の社会状況を知るうえでも重要な史料であるといえよう。


中国海関档案史料 unit1
*表示の価格およびリール数は2005年3月現在のものです。諸般の事情により変更になる場合がございますので予めご了承下さい。
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